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2016年9月6日

「紐解く時間」展、終了しました

8月27日(土)から9月2日(金)まで、CONTEXT-Sで開催した「読む時を演出する作品展-紐解く時間」展が無事に会期を終えることができました。

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本展は、築50年の古いアパートを改装した時の流れを感じるCONTEXT-Sで、紐解く(読む)時をテーマに企画しました。金属、木、土そして紙、といったそれぞれ異なる素材を使って制作する4人の作家が、テーマを掘り下げ、それぞれが読む時のイメージを膨らませ、作品を制作されました。

彫刻家、金属工芸家である藤沢レオさんは、椅子や梯子をあしらった彫刻作品と、読む時に腰かける椅子を制作されました。鉄の線材で作られた「静かな日」というシリーズ作品は、作品が佇む空間に静かな時が流れ、空気を作っているような作品でした。座り心地の良い椅子には、来場者が本を手に取り、腰かけ、1時間近く本を読まれていく方もいらっしゃいました。来場者の残像が記憶されていく、そんな毎日でした。

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木工作家の辻さんは、椅子やサイドテーブルと、器を出品されました。読みかけの雑誌や本を栞のように挟むことができるsode tableは、来場者にも大好評で、デザインの美しさと実用性を備えた作品に、多くの方が感心していました。柿渋や白漆、鉄染など、木に様々な手法で加工が施され、木という素材の可能性を広げてくれる器が並びました。

スリップウェアを制作されている伊藤丈浩さんは、時がテーマということで、現代のスリップウェアの高い温度ではなく、当時イギリスで焼かれていたであろう低い温度で焼き上げた温かみのある器を出品されました。札幌で、こんなに多くの伊藤さんの器を一同に観る機会は初めてであったため、初日から伊藤さんの作品を一目見ようと多くの方にご来場いただきました。

そして、紙作家の馬淵寛子さんの作品は、馬淵さんの丁寧で美しい仕事に、多くの方が心を打たれました。紙を縒り、糸や結び目で活字を表現したものや、和紙をちぎって羽のような欠片を様々な向きで貼り付け、本から色々な空想をするイメージを描いた作品、人が書物を読み、静かにじっとしている姿をイメージした張り子など、紙の無限の可能性について感じることができる、本当に素晴らしい作品でした。

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今回は、読むことがテーマであることから、ヒシガタ文庫さんにご協力のもと、読むをテーマに選書した約100冊の本も一緒に展示し、また週末は、珈琲と焼き菓子楽しめるカフェもオープンしました。本や珈琲を片手に、作品と一緒に過ごす時間を楽しんでもらうことができました。

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100冊の本については、引き続き、ヒシガタ文庫さんで9月30日(金)まで、展示販売をしています。そちらにも、どうぞお出かけください。
今回のテーマに真摯に向き合い制作いただいた作家の皆様、素晴らしい空間をご提供いただいたCONTEXT-S、そしてご来場いただいた皆さま、本当にありがとうございました!

*展覧会の記録写真や作家さんのメッセージなど、後日、Past Exhibitionのページに掲載いたします。

withart 本間 真理