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2019年5月30日
台南への旅
いつか訪れたいと長年願っていた台湾へ、夢が叶い、台北と台南を訪れる3泊4日の旅に出かけてきました。
今回の旅の一番の目的は、台南に住む友人のギャラリースペース、Absolute Space for the Artsを訪問することでした。
台北では、家族や友人と共に食を満喫し、台南へ移動しました。
台北駅から新幹線に乗って台南へ。台南行きの新幹線は本数も多く、チケットは外国人割引で事前にネットで購入できます。新幹線の台南駅からは、無料のシャトルバスでダウンタウンまで移動することができ、アクセスの良さは想像以上でした。
台南は、高層ビルが立ち並ぶ台北とはまた違う、のんびりとした雰囲気で、歴史的な建物も多く、文学館や美術館も多くあります。
こちらは、「国立台湾文学館」。1916年に建てられた文化財建造物で、訪れた日は、台湾の小学生たちが見学に来て、賑わっていました。
中心部にある「台南市美術館2号館」。日本を代表する建築家、坂茂氏が設計した建物で、今年の1月にオープンしたばかり。
台南の県花の鳳凰木(ホウオウボク)の花をモチーフにした五角形のガラスの屋根からは、光が差し込み、開放感のある心地良い空間が広がっています。ギャラリーの他、カフェやキッズルームもあり、会場のサインのデザインも魅力的で、展示だけではなく、空間全体を楽しめるスペースでした。
美術館から歩いて10分ほどの場所に、Absolute Space for the Artsがありました。周囲には、カフェや映画館、文具店や本屋もあります。台湾の路地は、このとおりバイクだらけ。滞在中は、ちょうど梅雨の時期に入り、どしゃぶりの雨が降る時間帯もありましたが、レインコートを着た大勢のバイクがひしめき合っていて、その光景は圧巻でした。
友人のYen-Yiとご主人のYi-Minと5年振りに再会しました。アーティストでもある二人は、自分たちのスタジオを探していたところ、この建物に出合い、約2年かけて改修し、台南に新たなアートスペースを作りました。
1階がギャラリー、2階はフリースペースで、3階にはYen-Yiたちの広いスタジオや作品庫があり、4階はレジデンス施設になっています。シャワールームやキッチンも完備され、大きな荷物や作品を運ぶためのエレベーターも設置され、コンパクトでありながら、使い勝手の良い充実したスペースです。
訪れた日は、2階のフリースペースで定期的に開催されているサロンの日でした。キュレーターやアーティストなどが集まり、2018年の活動報告と、今年のスケジュールを発表していました。台湾語での進行のほか、キュレーターによる英語の通訳も入り、多くの人たちが熱心に耳を傾けていました。
Yen-Yiは、2007年に札幌のアーティスト・イン・レジデンス、NPO法人S-AIRの事業で、約3カ月間滞在していました。札幌では、北海道の昆布や鮭に注目し、鮭の皮に、台湾の水墨画風伝統絵画を描いた作品を制作しました。その作品がこちら。久しぶりにこの作品に出逢い、当時、身近な食材を素材にした作品に衝撃を受けたことを思い出していました。その後、二人のお子さんを出産し、アーティストとして、この素晴らしいスペースを拠点に活動しています。
いつか海外で北海道のアーティストの展覧会を企画することは、将来の大きな目標でした。良いご縁をいただき、このギャラリーで、実現できることになりました。2年後の2021年を目標に、北海道のアーティストの魅力をどのように伝えることができるのか、これからしっかりと考えていきたいと思います。
withartの活動も、今年で10年目を迎えました。アートやデザインがもっと身近に、もっと普通に、アートに触れる楽しさを伝えたいと思い、ただただその思いだけで、活動をスタートさせました。手探りで始めましたが、多くのアーティストやスペースの方々、デザイナーやカメラマンなど、本当に多くの方々にご協力いただき、ここまで続けてくることができました。いつも支えていただいている皆さまには、いつも、心から感謝しています。今できることをしっかりと行い、また一歩前進できるように、活動していけたらと思います。