withart

Japanese
English

Past exhibition

Page to Back

  • CONTEXT-Sに射し込む光をとらえ、刻一刻と時を刻むガラス
    人の手を渡って辿り着いた紙から生まれる新たな物語

    それぞれが作りだす手仕事の集積から静かな音が響く

    作り手から使い手に紡がれていく「物語のかけら」展
    CONTEXT-Sに漂う空気と共に、ぜひ、ご高覧ください。



    *11月3日(土)17:00~
    アーティストトーク&オープニングパーティー
    入場料:500円(ドリンク・軽食付き)

    *11月3日(土)11:00~16:00
     11月4日(日)11:00~19:00
    洞爺湖のKAMOME COFFEEと、焼き菓子のM(みゅう)のコラボカフェをオープンします。
  • *フライヤー撮影・デザイン:drop around
    *記録撮影:メタ佐藤

TOP

作家紹介 artist introduction

  • ガラス作家
  • 塩谷 直美 Naomi SHIOYA
    • 1961
    • 東京都に生まれる
    • 1984
    • 多摩美術大学ガラスコース卒業
    • 1986
    • 同大学院修了
    • 1986
    • 東京都に工房設立 作家活動をはじめる
    • 1990
    • 鵜沢文明と結婚、滋賀に工房移転(鵜沢ガラス工房)
    • 1993
    • フランス国際ガラスセンター勤務のため渡仏
    • 1995
    • 帰国 滋賀県での作家活動に戻る
    • 1996
    • 茨城県に工房移転
    • 主な作家活動歴
    • 1987
    • 渋谷西武 個展
    • 1991
    • 世界現代ガラス展 出品
    • 1995
    • ギャラリーイヤリン(仏)個展
    • 1998
    • ふくなが 個展(以後隔年)
    • 1999
    • チャペルギャラリー(米)個展(2009年まで隔年)
    • 2001
    • 薩摩現代ガラス展 審査員賞受賞
    • 2001
    • 小野田現代ガラス展 審査員賞受賞
    • 2003
    • 朝日現代クラフト展 奨励賞受賞
    • 2003
    • たまき 個展(以後隔年)
    • 2009
    • 松屋銀座 鵜沢ガラス工房展(以後毎年)
    • その他、年数回の個展、工房展等で作品を発表している
    • 作品収蔵美術館
    • 北海道立近代美術館、コーニングガラス美術館、ボストンファインアート美術館、仏国グラスアートセンターなど

     

  • https://uzawaglass.amebaownd.com/
  • message
  • 硝子はとても厄介な素材だ。お金も時間もかかるし、壊れやすいし、技術面での制約も多い。表現したい事を表現するだけなら紙に絵で描くとか、粘土とか、別の方法もあるはずだと思いながらも長いこと硝子という素材から逃れられない。きっと硝子の光、温度感、質量のような独特な持ち味があるからこそ、表現したい何かが湧いてくるのだと思う。発明家のように新しい技法を追いかける硝子屋になれなかった私は、ありきたりの日々を短い言葉とシンプルな形にすることを理想としている。プロの表現者である以上、それが見知らぬあなたの心にヒョイと引っかかり、何としても手に入れたいと思わせる力がなくては存在価値がない。そんな厳しい判決を日々受けながら生きているのが、こういう厄介な仕事を選んだ人間のサガなのだ。やっぱり、やめられないほど楽しい。

  • 美術家
  • 中嶋 幸治 Koji NAKAJIMA
    • 1961年青森県平川市生まれ。絵画、彫刻、写真、詩作、セルフパブリッシングなど複数のジャンルを横断しながら独自の方法論で制作、青森/札幌を拠点に活動している。主な展覧会に、2014年個展「風とは」(TEMPORARY SPACE / 札幌)、2014年「札幌国際芸術祭2014」( 札幌大通地下ギャラリー500m美術館/札幌)、2013年より1人の芸術家へ焦点をあてたアーカイブ集「分母」を刊行し、2017年には日本ブックデザイン賞ブックデザイン・セルフパブリッシング部門にて入選。

     

  • http://kojinakajima.com/
  • message
  • 「物語のかけら」に寄せて、メッセージ、モノローグ、祈り

    風をまとったような制作を終えてから少し経つ。
    (「風と皮膚」、あるいは「視覚と触覚」らの意味の共生に心躍り、苦労した制作だった)風は自然現象の1つであり古くから生活のあらゆる場面で喩えられてきたとても人気のある現象である。そのためか、「あなたは風とか言わないほうがいいよ」とアドバイスを受けることも少なくはなかった。緻密な技法とこだわりを持った方法論が、観る人によっては一般的な穏やかな風と無縁の重い印象を与えていたのかもしれない。(《風のうろこ》2010)
    その後、芸術作品にタブーとされる「触感」と「ルール」を踏まえて、あえて触れることを容認しその証にサインをしていただくという作品を制作した。(紙は触れられてこその紙だと強く思う)(《風とは》2014)
    時を経てなお生まれ続ける紙上の微風。それは触れたご本人だけが感じられるのかもしれないし、後世にまで残る 筆跡がまた誰かの手元を揺らす風の源となるかもしれない。

    その後、改めて勉強し直さないといけないなと襟を正す機会に非常に多く恵まれた。自身が病に伏せがちになって しまった経緯も含めると、これまでの制作を見直す準備に入っていたのかもしれない。日常生活から振り落とされ そうに感じていたある日、桜の木を見るために北海道神宮へ向った。5月のお花見シーズンの終盤だっただろうか、境内のモクレンの木を眺めていると「もう終わりの頃だね」と隣にいた女性が呟いた。立派な樹皮を黙って見つめ ながら「まだ終わっていない・・・」と静かに閃く自分がいた。それからすぐ、登山→神宮→参拝、これらを走って100回行おうと決めて翌日から決行した。自分が苦しい時にこそ誰かへの祈りを捧げたり願いを支えること、祈りの仕方が上手ではないために身の痛みを先行させて実感を得ようとしていたことも、物語の始まりと終わりは人間の尺度だと気付いたことさえ新鮮だった。インターネットを通じて知り合ったイギリス文学の研究者Aさんからイギリスやアイルランドの文化を教えていただいた。Aさんはご自身が抱える重い病と必死に向合い、そして誰よりも人の幸せを願っている方だった。その姿勢に感銘を受けて、祈り方や走り方にも自信を持てるようになった。

    Cast a cold eye     
    On life, On death
    Horsman, pass by!

    教えていただいた中で、アイルランドの詩人、ウィリアム・バトラー・イェイツ(William Butler Yeats, 1865年 - 1939年)のUnder Ben Bulbenという詩の最後の3行を黙読しながら走ることが増えた。通り過ぎる者と流れて行くものへの眼差しが腑に落ちたような気がしてたまらなかった。そして、鮮明で柔らかくて強い輪郭を保っていたような祈りへの視点が変わった。

    100の目的を終える直前、家族が病に倒れた。目的を終えた後、故郷と札幌を往復することになった。出先の空き 時間やバスや新幹線の車内でも「描ける絵」を描き始めていた。制作そのものの仕組みを変えなければならなかった。始めの頃の絵は山を走っていた時の風景の融解を目指して描いていた。汚れないためにA4サイズの紙を2つ折りにして、半分の表面にオイルパステルで描きあげた後に折り畳む。それを繰り返していた。そんな中で、家族の手術が終わった直後に医師から現状と今後の方針について説明があった・・・。その時の体験が元になり、描きあげる絵のスピードがおそろしく速くなった。

    2つに折り畳んでいた紙を広げてみると、表面のオイルと僅かな色素が片面に付着していた。祈りは・・・、かたちを変え、移るのだろうか、届くのだろうか。まだまだ何もわからないなりに描き続ける日々がある。

TOP

作家紹介 artist introduction


TOP