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Artist Interview

"造形として器を成立させたい、光器の原点"

新里 明士

真っ白な磁器に空けられた無数の穴から光を放つ器。
9月に札幌のspace SYMBIOSISで開催する展覧会“SWEEPING”を控えて
岐阜県土岐市在住の陶芸家、新里明士さんに”光器”の表現が生まれた背景、
そして、制作へ向けられた想いをお聞きしました。

更新日 / 2013.7.9


Photo: Yusuke SUZUKI


新里さんが創り出す作品は、無数の穴が空けられていて、その薄く膜を張った穴から放たれる光の表情がとても美しい作品です。この光を放つ表現は、どのようにして生まれたのでしょうか。

新里

この表現は、2003年頃から制作しています。多治見陶磁器意匠研究所で 教えていただいた先生の影響もあり、造形として器を成立させたいという思いで、陶芸に向き合いました。

元々中国陶磁に興味がありました。ただ、“写し”という技法にはあまり興味がなく、中国陶磁が持つ凛とした佇まいやライン、存在感を表現したいと思っていました。

青磁や白磁も経験しましたが、あまり自分にはしっくりとこなかったので、 「器が器である」にはどう表現したら良いか模索していました。そのときに、 穴をたくさん空け、穴を空けると器としては使用できないため、空けた穴を 塞ぐ、というギリギリの表現で制作し始めたのがきっかけです。

また、自分の器は、元々中国にある技法の一つ「蛍手」と称されることがありますが、実は「螢手」といわれる技法で制作したわけではなく、器に穴が空いているという表現として、制作し始めました。

2011年から1年間、アメリカのハーバード・アートセンターで滞在制作をされていますが、帰国後、何か変化を感じていますか?

新里

アメリカへ行く直前は、自分が表現する技法について改めて考えたり、制作の意味を考える時間もなく、楽しく、忙しく制作をしていました。そこで、意識的に流れを途絶えさせ、渡米を決意しました。アメリカでは、日本のように頻繁に展覧会を開催することもなく、また自由に窯を使用できなかったこともあり、ゆったりとした時間が流れ、自分と向き合う時間を作ることができたと思います。自分自身を振り返る良いきっかけになりました。

実は、渡米前は、帰国後の大きな変化を期待していましたが、それほどではありませんでした。一度立ち返り、自身の表現を立て直すイメージを作ることができました。細部な変化かもしれませんが、最近は表面に釉薬をかけない表現もするようになりました。器を使用することを考えると、穴を埋めるためにも釉薬をかけていたのですが、穴が空いていても表現としては成り立つのではないかなど、少し自由な発想で考えられるようになってきていると思います。

海外での陶芸作品を観る観賞者の視点は、日本と比べて、どう感じましたか?

新里

器という形状が大きく影響すると思いますが、日本では、用途を意識して  観賞することが多いと思います。 「これは何に使えるのか」と聞かれることが多いですが、アメリカでは、何に使うかではなく、表面や表現を意識して  観ている人が多いように思いました。

今まで、国内外で多くの展覧会等で発表されていますが、制作に対する姿勢や思いに大きく影響したり、印象に残っている出来事はありますか?

新里

2010年に、中田英寿さんが主催する「REVALUE NIPPON」プロジェクトで、藤原ヒロシさんが企画した、アーティストの宮島達男さんとのコラボレーション作品を制作したことは、大きな出来事でした。それ以前は、穴を具体的なモノに落とし込みたくないと思っていました。ある造形論の影響もあり、「形に模様は沿わせるべきだ」という私なりの解釈に縛られていました。 実際に、宮島さんの数字を落とし込み、穴を空ける作品を制作してみると、想像し得なかったすっきりとした作品になりました。 このプロジェクトをきっかけに、強い こだわりがなくなり、それ以降は、デジタル的な表現も手がけるようになってきています。 人とコミュニケーションをしていくことで、自分が見ていなかったことが見えてきて、人と関わることは大切だと実感したプロジェクトでした。

9月に札幌で参加していただく展覧会“SWEEPING”は、ジャンルの異なる 作家3人のグループ展です。異なるジャンルの作家を組み合わせることにより、それぞれの作品と空間が共鳴し、作品の見え方が変化したり、観るものの新たな興味を引き出すことができたらと思い、企画しました。 陶芸以外の作品と一緒に展示する今回の展覧会を、どのように受け止めていますか?

新里

宮島さんとのコラボレーションを機に、陶芸以外のジャンルの方との展示は とても面白いと思い、今後も積極的にやっていきたいと考えています。楽しみにしています。


新里さんにも参加いただく展覧会”SWEEPING”は、下記の日程で開催いたします。
詳細につきましては、8月中旬までにNew Exhibitionのページでご案内いたします。
北海道では初めてとなる展覧会です。
ぜひ、新里さんが創り出す光の表情をご覧ください。

”SWEEPING”
佐々木秀明 × 朝地信介 × 新里明士

space SYMBIOSIS
札幌市中央区南2条西4丁目10-6 SYMBIOSISビル1F
2013年9月3日(火)~16日(月・祝)12:00 – 19:30  (日曜日:19:00まで)無休

*アーティストトーク&パーティー
9月7日(土)19:30 入場料 500円(1ドリンク付き)

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