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Artist Interview

"土の表情を探る、概念としての器"

服部真紀子

真っ白な土片で覆いつくされた陶のオブジェ。
4月に札幌の“Plantation”で開催する展覧会“ACROSS”を控えて、
愛知在住の陶芸家、服部真紀子さんに制作に対する想いをお聞きしました。

更新日 / 2013.2.1


2012年 「廻る」 27×27×H23 cm


服部さんの作品を初めて拝見したとき、とても陶で作られているとは思えない、ダイナミックでかつ繊細で、衝撃的な作品だと感じました。この表面を産毛のように覆う発想は、どのようにして生まれたのでしょうか?

服部

大学時代の授業の課題が大きなきっかけでした。教育大学に進学し、陶芸の他、漆やガラス、織物など様々な技術を学びました。
その中でも、ダイレクトに手で触ることができ、制作した形がそのまま作品に現れる“土”という素材に魅力を感じ、陶芸を専攻しました。
ある授業で、「土の表情を探る」という課題がありました。土の表面をナイフで削ったり、土をぎゅっと押しつぶしたりと、それぞれが色々な試みをするなかで、「びっしりと表面を覆いつくす」ことに面白さを感じました。丸めた土や、長い棒状の土などで埋めつくし、その覆いつくされた景色に、魅力を感じました。
土の面白い表情を全面に押し出すこの課題が一番印象に残り、卒業制作も、その後も、この手法で作り続けています。

様々な素材やジャンルがあるなかで陶芸を制作されていますが、”陶”という素材はどのような魅力がありますか?

服部

一言で言うと、自分に合っている素材だと思います。表面を土片で埋め尽くす作業にかかる時間は膨大です。よく「大変な作業ですね。」と言われることがありますが、私にとっては決して苦ではありません。土を乾かしている時間や、同じリズムで淡々と進めていくテンポが自分には合っていると思います。また、自分が表現したいと思う形を導き出してくれる素材です。

服部さんの作品は、どれも着色のない、ゆったりとした曲線を描く作品ですが、色を使わない理由はありますか?

服部

私の作品は、釉薬を掛けずにそのまま焼き締めているので、土そのものの色が出ています。 わざと白くしているのではなく、そのまま焼いて、窯から出てきた色が白く綺麗だったので、それ以上手を加えないことにしました。
また、色で表現する作品ではなく、表面の表情ありきの作品なので、形も複雑にせず、できるだけシンプルな作品を作りたいと思っています。
すべての作品に、穴が空いていて、器形になっています。実用性の意味の器ではなく、内側からせり上がって”器”という形ができ、外側が形成されるという器の特性、「概念としての器」を意識して制作しています。作品を観るときには、ぜひ、内側に意識をもって、じっと中を覗いて観てほしいと思います。

展覧会へ声をかけさせていただいた時に、制作に集中できる環境になったとお話されていました。環境が変わって、その変化は作品に反映していますか?

服部

制作に掛けられる時間が増え、時間に余裕ができたことで、様々な試みができるようになりました。制作段階で、何か違うなと感じたときには、一度立ち止まって試みる余裕もでき、制作に集中できる時間ができたことは大きな変化です。

今回の展覧会“ACROSS”は、服部さんの陶芸作品と、艾沢さんのインスタレーション、国松希根太さんの彫刻作品による3人展です。どんなことを意識して、今回の展覧会の作品を制作されていますか?

服部

異素材、他のジャンルの作品と同じ空間で展示することも、北海道での展示も初めてのことです。良い意味であまり意識をせず、制作しています。他のお二人の作品を写真で拝見しましたが、とても存在感がありながら、圧迫感のない作品だと感じ、安心して制作しています。


服部さんの作品も出展する展覧会は、倉庫を改装した喫茶店の巨大な屋根裏空間で開催します。それぞれ、ジャンルも素材も異なる作品ですが、どの作品も一見しただけでは何か分からない、観る側の経験や記憶が反映する印象の違いによって、想像力で”観る”楽しさがある作品です。
ぜひ、会場に足をお運びください。
そして、服部さんの真っ白な土片で覆われた陶の作品を、上からじっと、内側にある穴を覗いてみてくださいね。

”ACROSS”
艾沢詳子 × 国松希根太 × 服部真紀子

2013年4月6日(土)-15日(月)*水曜休み
11:00-18:00
MORIHICO Plantation
札幌市白石区菊水8条2丁目1-32


2013年1月31日(木)収録。

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